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「零………」




ピッピッピッピッピッ…




電子音が部屋中に響き渡る。



私の目の前には、白いベッドに横たわる零。


髪の毛こそまだ所々整っていないものの、相変わらず王子様。




「…早く目、覚ましてよね」



零が襲われたのは昨日。


頭になにか強い衝撃があって倒れたらしいけど、なぜか零は無傷だった。


…確かに池を作るほど流れていたはずの血が出ていたはずなのに。



なぜか、救急車が零のところに来た時には…血の流れが止まっていて、しかも傷もなかった。




脳に衝撃を受けたのは検査の結果確からしいけど…幸い特に問題もなかったらしい。



ただしばらくは眠り続けるだろうってだけ。



今日は私も学園に行かず、朝から零のいる病院に来ていた。





「…どうしてあんなに」




取り乱したの。



そう聞きたかったけどもちろん零は答えてくれないし、それに…


零がその話はしたくないってことぐらいは分かっている。




無理に聞かない方がいい。


いつか話してくれた時に…ちゃんと、聞こう。





そう誓いながら、昨日の状況を思い出す。



手も足も出なかった。


突然だからと言って、手を伸ばして零を止めることぐらいはできたかもしれないのに。




あんなに取り乱した零を見るのは初めてだったからかな。



柊に挑発された時だって…あんなに取り乱したりはしてなかった。




「………して」



「っ、零!?


零、零!?聞こえる!?」




今、確かになんか言った…!