「だからこそ龍矢は短期間で強くなったんだけどな」



「最初は忍者ってこと隠してたんだけど、影系の職達の技術であっという間にバレて、広まった。

さすがに住宅街のここらへんでは襲われはしないけど、ちょっと人通りあるところや逆になさすぎるところに行くと危ないよ」





…なんで。




「なんでよりにもよって、こんな職なの私~!」




「結構人気のある職だぞ、喜べよ」




「嫌だよ、歩くだけで命の危機じゃん!だから学園もいけないってことなの~!?」





うう、と机につっぷす私。



「なんで学園に行ってはいけないのですか?歩いていくわけじゃないですし…」




「学園で待ち伏せされたら終わりだよ。

もちろんこの世界でも学業は必要だから、ある程度のコマ数をとらなきゃ留年するしね。


大体の人がコマ数ギリギリしかとらないとはいえ、毎日10人は学園に行くし」





つっぷしていた顔をあげ、さっき柊に教えてもらった手順で職宣告の画面を出す。


そこには無情に、私の気も知らないポイセさんが【超能力使い】という文字を浮かべている。




「…んで、2人は私たちに何をしてほしいのよ」




待ってました、とでもいうかのように。



龍矢がにこっと笑いながら言った。





「2人とも、2週間みっちり訓練してもらうよ。

椿は1日でも早く超能力の技解明を、零は1日でも早く職持ちになれるよう、2人とも戦闘の練習を重ねよう」







「…嫌だ!!」



「嫌です」






私と零の声は、残念ながら2人には届かなかった。