「…残念ながら、それは無理な話」




「…へ?」




会長さんは、スッと…どこからともなく、あるモノを出した。



いや…確かに今、

"何もない空中から出した"…?



「ま、半世界との出会いも、
新たな仲間との出会いも、

全て運命の巡り合わせ…」




意味深なことを言って、"それ"を操作し始める。



そこで私は、やっと気付くのだった。





「零、この人…!」



「…僕もついさっき気付きました」






彼が操作しているのは、

黒いタブレット…




「あのタブレットって、入学式で見た人のですよね…」



そう。


目の前にいる会長さんは…

紛れもなく、入学式の時に見た"学生決闘"の動画の中で戦っていた人。



タブレットを操作し、バリケードを作ったりしてた人だ…!






「ま、今気付いてもなんにもなんないし?

じゃーね、

良い旅を…」





とある世界の、



とある街の、



とある場所。





怪しげな…人を誘うような、挑発するような。


不思議な笑みを浮かべる会長さんの綺麗な指が


タブレット画面をトン、と押した刹那。







「…っ、!?


また、これ…!?」






さっきと同じような…目を開けられない程の閃光。




先程と違うといえば、





その閃光は…美しい藍色だったことぐらいだった。