「……アレン君、だよ」





私の言葉に、みんなは一斉にアレン君を見る。




今もアレン君は天使のような寝顔を浮かべながら、ぐったりと床に横たわっている。






「いや…椿、なんでだよ?

アレンは実際に学生決闘の上位者に入ったことがあるのを見たことあるぜ?」




「…柊、忘れたの」



「だからなにがだっつの」




……アレン君はすやすやと、私たちの気も知らず眠る。



…ただ、これは実際…アレン君なんかじゃない。





「Qは…手品師なんだよ?」




アレン君に化けることだって…名も高いQのことだから、そんなの容易いんだろうと思う。




私の言葉に反応した龍矢が危険を察知したのか、すぐに倒れているアレン君と距離をとる。




柊と零も続いて離れるけど…起きる様子はない。





「ねぇ…なんでアレン君なの?」



「さっきも言ったとおり、Qは手品師。


そして…龍矢によると、"影系"と言われるちゃんとした情報が分からない職なんでしょ、手品師って」




私の言葉を理解したのかしてないのか、よく分からない表情でナミは少しうなずく。



私は手に持っていた赤のポイセをパーカーのポケットから出して、見せる。




「これ、見て」




【19:27】



そう表示されたポイセの最初の画面。




「…急がなきゃいけない時間なのは確かだね。

で、どうゆうこと…って、あ、そうゆうことか…!」



1番最初に気付いたのは龍矢。そして零もすぐにハッとした表情になり、ポイセを取り出す。




「本当ですね…Qは、アレンさんです」



「お、おいどうゆうことだよ?」


「ちゃんと説明してよー!」