君に二文字伝えるだけの簡単なこと



「わ、野々村!?なに、どうしたの。
ど、どういう、状況?」


やっと事態を把握したものの、心臓はうるさく頬はどんどん赤くなる一方。




「ちょっと、黙って。
あーもう、お前、ほんと。あほ、ばか。」

いつもなら、即座に言い返す悪口も、今日は悪く聞こえない。



「なんで、俺が、1回家に帰ったのにも関わらず、高校まで戻ってきたと思ってんだよ。

立木の呼び出しじゃないと、無視してたっての。」


そう言った野々村の顔をちらっと見上げると、私と同じく、頬が真っ赤になっている。