私は皆の視線を無視し、白牙の横を通り過ぎようとした時。
あと。あと一歩出ていたなら。
「裏切り者。お前なんて最初から白牙にはいらなかったんだ。」
この言葉は聞かなくて済んだのかな。
一瞬、時間が止まったのかと思った。
鼓動がドクドク速くなって。背中に冷や汗が流れて。
早くここから退かなきゃ。そう思うのに、体は固まって動けなくて。
それが、悔しくて。過去からいつまでたっても抜け出せない自分が馬鹿馬鹿しくて、情けない。
すぐ泣きそうになるのも。それを必死で止めようとするのも。
馬鹿、みたいだっ…。
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