オフィスの華には毒がある

何とも答えようがなくて、ひたすらまた無言で歩く。


きゅっ。

何となく、力を入れてみる。柔らかな弾力を右手に感じる。



きゅっ。

……あ。同じくらいの強さで握り返される。
そっと盗み見ても、主任は相変わらず前を向いたまま。

……勘違い?
全くこっちに関心が無いみたいに、しっかり前を向いて歩いていて。


もう一度。


きゅっ。


まるで、何かの実験のように、信号を送るように、強く握る。


きゅっ。


また、同じくらいの強さで握り返される。

身体中の神経が、右手に集まってしまったみたい。


言葉を交わすよりも、ずっとドキドキするのはどうしてなんだろう。


そして、ドキドキしているくせに、どうしてこんなに気持ちが穏やかなんだろう。