……山内君からだ。

「はい!」

『デカイ声で返事してんじゃねーよ、軍隊かお前は』

ぐ、軍隊って……。

あたしが困っていると、電話の向こうでクスリと山内君が笑った。

『マジで?』

「えっ?」

『だから、マジで俺とどっか行く?』

「あ、あの……」

『勘違いすんなよなっ、お前は真面目に家事やるから、そのご褒美なだけて、他に意味はねーから』

あ……な、んだ、そういう事か……。

そりゃ、デートとか、そんなんじゃないよね。

好きな人がいるんだし。

あたしは、少しだけ期待してしまった自分が恥ずかしかった。

『だから、俺と遊びに行くのかって聞いてんだよ、早く答えろ、このボケ』

ボ、ボケ……いや、もう馴れたけど。

「う、うん」

『っ……』

僅かに、彼の息づかいが聞こえた。

それから、

『じゃ、明日な。疲れてるだろーから、弁当はいいわ。てことで、朝は別行動。放課後、俺の家な?』