ナナ色Heart

「本田優です」

彼女が名乗ると、再び彼の聴き心地のよい声がした。

「ごめん、本田さん。君とは付き合えないんだ。本当にごめん。でも、君が俺にそう言ってくれた事は凄く嬉しいし、変な言い方かも知れないけど、感謝してる。ありがとう」

山内君の優しい声が途絶えると、今度は本田さんの震える声が聞こえた。

「付き合ってる人がいるんですか?」

「そうじゃないけど、好きな人がいるんだ」

早鐘のような鼓動が耳元まで響き、あたしは目眩がしそうだった。

『好きな人がいるんだ』

胸の中で、カシャンとガラスが割れるような気がした。

そっか……好きな人がいるんだ、山内君……。

「分かり……ました。ご迷惑かけてすみませんでした」