ナナ色Heart

「ナナって呼びやすいわ、これからはナナって呼ぶ」

それからフッと視線をそらした。

「お前も……別に山内君じゃなくていいけど」

なんだかぎこちない口調。

もしかして、ほんとに……呼んでもいーんだろーか、下の名前で。

蓮(れん)って。

「……っ」

いやいや、無理です、やっぱ、無理っ!

あたしが黙り込んでいると、山内君は、 フーッと息を吐き出した。

「……さあ、行くぞ」

「うん……」

あたしたちは手を繋いだまま、歩き出した。

いつの間にか街のざわめきは、元通りあたしの耳に届いていた。