ナナ色Heart

早鐘のような鼓動と、あたしをナナと呼ぶ山内君。

何だか彼氏と彼女になったみたいな錯覚を覚えて、あたしはゆっくりと顔をあげた。

山内君は真顔であたしを見つめていた。

「ナナ」

「は、い…」

街の喧騒がやけに遠くに聞こえて、あたしはまるで、世界に二人しか存在していないような気がした。

山内君はゆっくりとあたしに向かい合うと、もう一度名前を呼んだ。

さっきより優しくて、僅かに微笑みをたたえた瞳と、少しだけ恥ずかしそうな表情が、あたしをドキドキさせる。

「ナナ」

それから、何も言えずにいるあたしの顔を覗き込んで、爽やかに笑ったの。