彼女は泣きながら俺にそう言った。

後でナナに聞くと彩さんは、親の反対を押しきり、駆け落ち同然で沖縄から出てきたらしくて、彼女なりに自分の境遇と重ね合わせて、思うところがあったんだと思う。

それ以来俺は、ナナの母親から絶大な信頼を寄せられていて、ナナは、俺の家に限り外泊OKとなっている。
しかも、彩さんは、俺の事も実の息子のように可愛がってくれている。
それゆえに俺も、夜中にナナと出歩くなどの、危険な行動は一切しないように心掛けている。

例えば、電話には、必ず出る。

午後9時以降は出歩かない。

寝る前には、お休みコールを必ずする、といった具合に。

小さな事かもしれないけど、彩さんの信頼を裏切りたくない。

俺はもう一度ナナに言った。