「お前の部屋、どこ?」

「二階のすぐ右」

山内君は階段を上がり、さっさとあたしの部屋へと向かったから、あたしは慌てて後を追った。

先に部屋へ入った山内君は、あたしが入った途端、両腕を開いてこっちに近付いた。

「あ」

シトラスの香りと、山内君の体に包まれて、あたしは眼を見開いた。

山内君の心臓の音が、頭に心地よく響く。

「ナナ……」

僅かに甘い、山内君の声。

「あ、の……」

「好きすぎて、頭がおかしくなりそうなんだけど」

低く掠れた声で、山内君はそう言った。