「ん、っ……」


陽日のキスは甘くて蕩けそうで思わず声が漏れてしまう。


それを合図に陽日は唇を私の首筋に這わせる。


「っ……や、ダメ……」


「沙紀さん、ここ弱いの?」


陽日の息が首筋に当たりゾクリとしちゃう。


余裕の陽日はそう言うとまた私の首筋に顔を埋めた。


その時、チクッと痛みがーーー


「ちょ、ちょっとー、調子に乗らないのっ。」


「ダメだった?だってさ、俺のものだって印付けとかなくちゃまた誰かに口説かれたら困るもん。」


「えっ、さっきの聞いてた?」


「全部って訳じゃないけど、何となく二人の雰囲気でね。」


「そ、そっか………」


やっぱりそうだったんだ。


だからあんな顔して立ってたんだ。


「だけど、沙紀さんの気持ちを聞けたから良かった。さっきのキス嬉しかった。」


なんとも嬉しそうに陽日が言う。


「いっとくけど、まだ完全な本気じゃないからね。」


だって今、漸く自分の気持ちに素直になったばかりなんだもん。


なのに陽日ときたらーーーー


「はい、はい、どうせ最後には俺に夢中になるんだから。」


そう言ってまた唇を重ねる陽日。


「ちょっと……んっ……ぅ」


ダメだ……。


案外夢中になる日は近いかもしれない。













結局その後、私は同じ部屋の子に温泉に誘われるも首筋にくっきりとつけられた陽日の印のせいで入れなかった。


悔しいっ。