「ええ、ちょっと酔いを冷まそうと思って。でももう戻る所です。」


「随分と嫌われたな。」


「えっ?」


「僕の事、避けてるよね?」


苦笑いの藤枝さんが言う。


「いえ、避けてなんかないです。たまたま…だと思います。」


本当はそうなんだけど………


「そっか。僕の考え過ぎかな。少しだけ良い?」


藤枝さんはそう言うと、庭に置いてあるベンチの方へと歩いて言った。


仕方なく後から着いていく。


藤枝さんが座ったので私も隣に座る。


ほんの少し空けて座った距離が今の私の思いを表しているようだ。


「この前言ったこと……。」


「この前……ですか。」


「そう、離婚したって話。本当なんだ。」


「どうして?あっ、込み入った事聞いてごめんなさい。」


「いや、構わないよ。君にはちゃんと知ってほしいし。」


「もしかして、私が原因…とか?」


そこはやはり気になる。


「それは違うとは言えないけど、直接的な原因ではないよ。」


「直接的な原因?」


「ああ、君との事もあったけど結婚する以上、相手をちゃんと好きになるよう僕も努力したし一緒に暮らしていると情も湧いてくる。それなりに充実した結婚生活だったと思うよ。」


「じゃあ、どうして?」