暫定彼氏〜本気にさせないで〜

何とかあの二人と別れて(逃げて)夜の宴会前にお風呂に入る事が出来た。


同じ部屋のメンバーと賑やかに大浴場に行き、初めはちょっと照れもあったけど気持ちの良いお湯に浸かると日頃は違う部署で働くみんなとも打ち解けることが出来た。


まさに親睦を深めるだな。


程なくして夜の宴会が始まった。


初めにほんの少し堅苦しい話もあったけど、乾杯の声とともにそれぞれが楽しみ始めた。


やはり、盛り上げてくれるのは営業の若手。


今年入社の新人の子達が余興をして盛り上げてくれる。


志賀も少しお酒も入って何やら上機嫌でヤジを飛ばしたりなんかしている。


私も食べたり飲んだり、他部署の人と色んな話をしたりと、楽しんでいた。


だけどちょっと飲み過ぎたかな。


私は同じ部屋の子に少し外の風に当たってくると言うと宴会場を抜けた。


老舗旅館の庭はそこそこ広くて立派な日本庭園になっている。


ついこの前まで日中はまだまだ暑かったりしたけれど、もう10月。


やはり夜は肌寒い。


それでも冷たい秋の風が酔いを心地よく冷ましてくれる。


「湯冷めしちゃうな。やっぱり戻ろうっと。」


庭園を少し歩こうかと思ったけど、風邪でも引いたらいけないし、また宴会場に戻ることにした。












「一人?」


突然掛かった声に振り返ると


藤枝さんだった。