ゆっくりと重なった唇は直ぐに離れて……


けれどまだ陽日の手は私の頬に添えられている。


熱い視線が私を捉えて離さない。


「沙紀さん、俺、本気でするから……覚悟して。」


そう言うと今度は啄む様なキスをする。


何度も優しく触れられているうちについ、私の唇がほんの少し開く。


その一瞬に陽日のキスは深くなり……


頬に添えられていた手はいつの間にか後ろ髪に差し込まれ完全にロックされている。


なんて……優しいキスなんだろう。


深まるキスはとても優しくて、どんどん体の力が抜けていく感じがする。


「んぅ……ダメ……」


「何がダメなの?」


と、一旦、私の唇を解放すると陽日が嬉しそうな顔して聞いてくる。


「知らない……。」


何だか無性に恥ずかしくて目を逸らしたいのに、陽日は私の頬を両手で挟んで逃がしてくれない。


「ねぇ、俺の気持ち沙紀さんにちゃんと伝わった?」


気持ち……?


確かに陽日のキスはとても優しくて、私を大切に思ってくれてるのが伝わってきた。


「うん……。」


「本当に?良かった。ちょっと強引な手使ってキスに持ち込んだから心配だったんだ。いやぁ、バレたら流石に怒って殴られたらどうしようって。」







強引な手?


バレたら?







「陽日くん、詳しく説明してもらえるかな?」