「ちょっと、お願い。もう一回。ねっ?お願い。」


「沙紀さん、そんな可愛くおねだり顔してもダメですよ。俺、勝負事には容赦ないから。」


結局、陽日が持ってきたトランプでポーカーをする事にした。


たまたま家にあったキャンディをチップ代わりにしてさっきから何回かしてるんだけど……。


「ケチ。次は絶対に勝てる気がするの。だからさぁ……」


昔から妙に負けず嫌いな所がある私。


このまま負け越しで終わる訳にはいかない。


「だけど沙紀さんの持ち分のキャンディ無いじゃん。」


「うっ……。じゃ、じゃあ、他の賭ける。」


「へぇ……他のをねぇ。それ、俺が決めていい?だったらもう一度だけ勝負してもいいですよ。」


「本当に?じゃぁ、何賭ける?あっ、キャンディもう一袋あったかも。」


「沙紀さん、キャンディもういいよ。」


「じゃあ、何にするの?」


「じゃあねぇ……キス。」


「えっ?」


き、キスって……


「それはダメでしょ。」


「なんでダメなの?だって沙紀さんが負けなければ良いんでしょ?それとももしかして、俺に勝てる気がしないんじゃないの?」


「はあ?誰が負けるですって。望むところよ。いよいよ、本気出すからね。覚悟しなさいっ!」