「ありがとう。お陰であっという間に終わって助かったよ。」


「まぁね、俺、仕事出来ますから。」


はいはいっと。


勝手に言ってなさいよ。


さてと、無事仕事も終わった事だし帰るとするか………。


「なに?」


私の事をじぃーっと見てくる陽日。


「なにって、何か無いの?」


「はっ?なんか無いってどういう事よ。」


「だって、俺、沙紀さんの仕事手伝ったんですよ。何かご褒美とかあってもいいじゃん。」















「子供かっ。」


なにそれ、聞いて呆れるわ。


「ええー、誰もただで手伝うとか言ってないですよ。」


「はあ?自分から手伝っておいてそれはないんじゃない?」


「へぇ……、沙紀さんって案外、心狭いよね。」


せ、狭いって………。


「分かったわよ。じゃあ、今からご飯でもご馳走すれば良い?」


それくらいならしてあげてもいいかなと思って提案したんだけど……


「んーそれも嬉しいけど…今日はいいや。実は俺、これからまだ少しやる事あるんで。」


あっさりと断られてしまった。


「えっ……ごめん。仕事まだあるのに私のを先に手伝ってくれたって事?」


正直、本当に助かったけど、まだ仕事があるなら言ってくれれば良いのに……


「まぁ、俺、ご存知の通り出来る男なんでこれくらい楽勝ですよ。実際、直ぐに片付いちゃったしね。」


な、なんだろ……


悔しいけれど認めざるを得ないこの事実。


「でもじゃあ、ご褒美って何して欲しいの?。ま、まさか体で…」


思わず我が身を抱きしめる。


「沙紀さん、さすがにそれを言っちゃあヤバイでしょ。考え方がおっさんですよ。でもまぁ、俺はそれでも全然、良いけどね。」


と憎らしい笑顔を向けてくる。


「良いわけないでしょっ。ねぇ、じゃあどうすれば良いの?」


これじゃぁ、埒が明かない。 


そう思って聞いたらとんでもない要望が返ってきた。









「どうするってーーーー沙紀さんの手料理が食べたい。」













はあ?
手料理ぃ?