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その時、デスクの上に置いていた私のスマホが突然に鳴りだした。
驚いて二人してデスクのスマホを見る。
ディスプレイに表示された名前を見ると陽日からだった。
「ご、ごめんなさい。出ていいですか?」
「あっ、ああ……ごめん、悪かった。いきなりこんなことして。」
藤枝さんは漸く私を解放し、さっと立ち上がると
「また改めて話す機会を作って欲しい。ちゃんと話をしたいんだ。」
と言った。
その間もスマホの着信は止まらない。
「……分かりました。」
「それじゃあ、僕はこれで。」
「はい、お疲れ様です。」
藤枝さんがオフィスから出たのを見届けてから未だ鳴り止まないスマホに漸く出る。
ーーー遅ーいっ!何で直ぐに出ないんだよ。トイレでも行ってた?
陽日の声を聞くと何故かホッとした。
もしこの電話がなければ今頃、どうなっていたんだろうか。
藤枝さんは何を言うつもりだった?



