暫定彼氏〜本気にさせないで〜

昼ご飯の時に、色んな事があり過ぎて、午後からの仕事が全く手につかない。


結果ーーーー











どっぷり残業なんですけど。


会社の方針で残業は極力しない事になっている。


けれどこの書類だけは今日中になんとしてでもまとめておかねばならない。


今月締めの書類を幾つかパソコンに急いで入力していた。


するとーーー


「あれ、まだ残ってたんだ。」













「藤枝さん………。」


今日は研修で一日、社内には居なかった藤枝さんがこのタイミングで戻ってきた。


「………お疲れ様です。確か、藤枝さ……課長は今日、直帰でしたよね。」


「あ、ああ…そうなんだけどちょっと確認したい事があってね。」


「そうなんですか……。」


それ以上、何も言えなかった。


ううん、それ以上話す必要なんてないじゃない。


早く仕事片付けて帰ろう。


この場にいると何だか息苦しい……。


沈黙に耐えられそうにない。














「もう、名前では呼んでくれないんだ。」


自分のデスクで何やら書類を探しながら藤枝さんが言った。


まるで独り言でも言うかのように。