暫定彼氏〜本気にさせないで〜

「どうしたの?迷子?」


「はい、そうみたいです。」


「インフォメーションに連れてく?僕、お名前言えるかな?」


「おばちゃんには教えない。」


「・・・・・・・」


実際、これくらいの子供がいてもおかしくない年齢の私は反撃出来ず黙るしかない。


ふと陽日を見ると必死で笑いを堪えながら肩を震わせているのが分かる。


「こら、俺の大切な彼女にそんな事言わないの。名前は俺がさっき聞きました。なっ?ハルキって言うんだよな。俺達、一文字違いなんだよな?」


俺の大切な……って言うか、明らかに笑い堪えながら言ってるよね?


それに同じハル繋がりからか二人して妙に連帯感あるし。


何か腑に落ちないものの…それより今はこの子か。


「でも、どうする?ご両親きっと探してるわよね。」


「園内MAP見るとここから迷子センターのあるインフォメーション結構遠いんですよ。取り敢えず、この辺りで探してみて見つからないようであれば、そこに連れて行こうかと。どうやらはぐれてそんなに時間経って無いみたいだし。」


へぇ…さすが仕事の出来る男は段取りが良いわね。でもこの人の多さで探すって……。


「どうやって探すの?」 


「そうだなぁ…取り敢えず、大きな声で呼びますか?」


えっ、マジで……。