「信じます。彼の言葉を私は信じています。」


「何を根拠に?現に跡を継ぎたいと言い出した息子は私の指示により君と連絡を取っていない筈だ。違うかね?」


「はい、確かに全く連絡を取り合っていません。」


「そんな状況でも君は息子を信じると言えるのか?息子はひょっとすると君の事をもう何とも思っていないかもしれないのに?」


呆れ顔で陽日のお父さんが言った。


「正直言うと、時々不安に思う事もあります。この先、どうなるんだろうかって。だけどーーーそんな先の事ばかり考えるよりも、今のこの気持ちを大事にしたいんです……。」


「今の気持ち?」


「はい、今この瞬間も彼が好きという気持ちです。その事実は変わらない。私には彼が必要な存在であって、彼もまた私が必要なんです。それだけじゃ駄目なんですか?」


私の言葉を黙って聞いていたお父さんは、少し目を閉じると溜息を一つ吐いた。