「うう〜、美味しかったぁ〜」


何とか席を確保する事が出来て、みんなでお料理を堪能する事が出来た。


「いつもながらあなたの美味しそうに食べる顔を見るとこちらまで幸せな気分になる。」


目を細めそう言いながら炭酸水を飲む樋山さん。


「樋山さんも諦め悪いなぁ。俺なんかもうスパッと切り替えましたよ。スパッと。なっ?」


と私に微妙な振りを入れてくる志賀。


なんて答えたら良いのやら……


「まぁ、志賀には今は同期として本当に助けてもらってる。」


「聞きました?ねっ?樋山さん、男女の仲は切れたら終わりですけど同期ってのはずーーーっと例え、会社を辞めようともずーーーっと同期の関係は終わらないんですよねぇ。」


「羨ましいな………。」


「那由ちゃん?」


「私も志賀さんと同期になりたかったです……あっ、もちろん沙紀さんとも。」


付け足しかいっ。


どうやら那由ちゃんは志賀の事が気になるみたい。


志賀はイマイチ、どう思ってるのか分からないけどまんざらでは無いみたいなんだけどなぁ。


上手くいくと良いなって思うけど先ずは那由ちゃんが無事、入社してからだな。


それに恐ろしく厚い壁があるしね。


その厚い壁の樋山さんの身辺も近頃、賑わっている。


それはーーー


「ところで樋山さん、時期社長も夢じゃないんじゃないですか?」


志賀が徐ろに樋山さんに聞いた。


実は次の役員会議で樋山さんがどうやら取締役になるんじゃないかって話が上がっているのだ。


もし実現すれば異例の大抜擢だ。


もちろん、この情報も志賀が例の役員フロアのトイレで仕入れて来たものだ。