もう何もかも終わった気がした。


父親との確執のこと、沙紀さんのこと。


何から何までおじさんには話してきた。


けれどそれはおじさんが清掃員だから。


全く、関わりの無い人だと思っていたから……。


俺はとんでもない事をしてしまったんだ。


次の日、俺は早速辞表をおじさんに……いや、会長宛に辞表を郵送した。


沙紀さんの事とかうやむやには出来ないけれど、かと言ってこのままこの会社に居続ける訳にはいかない。


会長は知っているんだ。


俺がビジネス目的で沙紀さんに近づいたって事を。


俺が沙紀さんの暫定彼氏だってことを。


もう合わせる顔が無い。


けれど会社を辞めるにしても常識的に急には出来ない事だし、迷惑も掛かってしまう。


一旦、辞表を会長に預かって貰って時期が来たら執行してもらおうと考えていた。


それまでは直属の上司に適当な理由を言って会社を休むつもりだ。


なるべく事を荒立てないようにしたい。


ただ心残りは沙紀さんの事だった。


全てを話す前にこんな事になってしまって、もしこの事実を俺からではなく別の形で沙紀さんが知ってしまったら


彼女を傷付けてしまうんじゃないかって。


それともいい加減、愛想を尽かすだろうか。


何れにしても良い結果は招かないだろう。


辞表を郵送してから2,3日して会長から連絡があった。


追って連絡するからそれまで自宅で待機してなさいと。


早まった考えは止めるようにと。












そして、あの日、暫く自宅待機中だった俺は会長の自宅に呼び出された。


そしてーーーー


沙紀さんと再会する事となったんだ。