あの日…


沙紀さんの残業を手伝った時


俺は軽い気持ちで沙紀さんの手料理が食べたいって言った。


ここの所、帰りが遅くてロクなもの食ってなかったし、前に沙紀さんが作った弁当を食べた時、マジで美味しいって思ったから。


だけど家に行ってみてヤバイと思った……。


キスだけで止めるつもりだったのに。


それ以上は求めるつもりもなかったのに。


強引な手を使って沙紀さんにキスをした俺は自分の戸惑いを隠せなかった。


あれ以上、沙紀さんの部屋に居ることが出来なかった。


きっと、あのまま居たら俺は沙紀さんを力づくでも手に入れてたかもしれない。


何だかんだとこじつけて、部屋にやって来て、でもって手料理作って貰って。


子供じみた仕掛けで無理やりキスまでしておいて……。


そして俺は逃げ出した。


沙紀さんを傷つけ無い為に……


いや、俺が傷付きたく無いんだ。




















俺はあの人に嘘をついていた。