暫定彼氏〜本気にさせないで〜

「いや、これはあくまでビジネスとして話をしたんだ。」


ビジネスねぇ……


めちゃ、私情挟みまくってない?


「沙紀、ワシはこれでもまだ先を見る目はあるつもりだ。」


「はい……。」


「今の加藤くんと父親の関係は決して良好ではない。つまりはこのままでは何れ親子関係は崩壊するだろうと思う。そうなるとグリーンホールディングスの先行きにも関わってくる。」


確かに……陽日もお父さんとの仲が上手くいってないって話してたよね。


「それでうちで加藤くんをこのまま預からせて欲しいと頼んだんだ。もちろんビジネスとして。」


「ビジネスってどういう事よ。」


「つまりはうちで仕事のいろはを叩き込んでやるから今回の件は手を引けと。それで幸いにもうちの孫娘と恋仲にあるのだから二人の行く末を見た上で、再度合併の話をしないかと。」


なんか……言ってる事無茶苦茶な気がするのは私だけか?


「そんなので納得したの?そんな……冷血人間みたいな人が……。」


つい、思っていた事を言ってしまった。


すると、おじいちゃんが言った。


「沙紀。この世にいる人で本当に冷たい血が通う者なんて一人もおらんのじゃよ。生きてる限り、ここには必ず熱い血が通ってる。」


そう言って胸をポンッと叩いた。