「息子は向上心のない父親の姿を見てそうはなりたくないと仕事ばかりの人間になってしまったんだと。自分のせいで孫が辛い思いをしているのではないかと心配しておられた。」
あっ……
だから………
陽日が遊園地で迷子になった時も秘書の人に陽日を任せてお父さんは仕事に行ってしまったって。
「でもお母さんはいたんでしょ?お父さんはお仕事でもお母さんが側にいたら……」
「それが母親は仕事ばかりで家庭を顧みなかった夫に愛想を付かせて、ある日、子供を置いて出ていったそうだ。幼い加藤くんを置いてね。」
嘘でしょ?
母親が可愛い我が子を置いて出ていくなんて……そんな事ってあるの?
陽日……。
観覧車の中で小さく丸まっていた陽日の姿を思い出す。
お母さんに置いていかれるって悲しすぎる。
陽日はずっと寂しい思いをしてきたんだね。
「加藤さんは息子さんの事を最期まで気に掛けておられた。あんなに仕事ばかりしてその内、体を壊すんじゃないかって。」
「そうだったんだね。」
「加藤さんの体が限界を迎えようとしていた時、ワシは加藤さんに頼まれたんじゃよ。」
「なにを?」
「私にはもう息子や孫を見守り続ける事が出来ないから、どうか時々は二人の事を見てやって欲しいと。そしていつか私のこの思いを二人に伝えては貰えないだろうかと。」
「次に加藤さんに会いに行った時はもう病院にはいなかったーーーー」
それっきりだ………と未だかつて見た事ないほど弱々しげにおじいちゃんが言った。
あっ……
だから………
陽日が遊園地で迷子になった時も秘書の人に陽日を任せてお父さんは仕事に行ってしまったって。
「でもお母さんはいたんでしょ?お父さんはお仕事でもお母さんが側にいたら……」
「それが母親は仕事ばかりで家庭を顧みなかった夫に愛想を付かせて、ある日、子供を置いて出ていったそうだ。幼い加藤くんを置いてね。」
嘘でしょ?
母親が可愛い我が子を置いて出ていくなんて……そんな事ってあるの?
陽日……。
観覧車の中で小さく丸まっていた陽日の姿を思い出す。
お母さんに置いていかれるって悲しすぎる。
陽日はずっと寂しい思いをしてきたんだね。
「加藤さんは息子さんの事を最期まで気に掛けておられた。あんなに仕事ばかりしてその内、体を壊すんじゃないかって。」
「そうだったんだね。」
「加藤さんの体が限界を迎えようとしていた時、ワシは加藤さんに頼まれたんじゃよ。」
「なにを?」
「私にはもう息子や孫を見守り続ける事が出来ないから、どうか時々は二人の事を見てやって欲しいと。そしていつか私のこの思いを二人に伝えては貰えないだろうかと。」
「次に加藤さんに会いに行った時はもう病院にはいなかったーーーー」
それっきりだ………と未だかつて見た事ないほど弱々しげにおじいちゃんが言った。



