「ごめん、沙紀さん……。」


久しぶりに見た陽日は少しやつれていた。


「おじいちゃんどうして?どうして陽日がいるの?」


「どうしてって、そりゃワシの友達だからだよ。」


「えっ?」


話が全く見えなくてもどかしい。


「ねぇ、おじいちゃん、ちゃんと話してくれる?全部教えてよ。」


「沙紀さん、俺からちゃんと話させて。少し二人で話しても良いですか?」


陽日がそう言うと


「そうだな……二人できちんと話してきなさい。」


おじいちゃんが言った。















さっきまで私とおじいちゃんが話をしていた客間のテーブルを挟んで陽日と向かい合わせに座る。


何をどう話せば良いのか分からず私はただ黙るばかりで…


陽日にしても言葉を選んでいるのか中々、口を開こうとしない。


部屋に沈黙が走る。


その間も相変わらず庭の鹿威しは一定の感覚で鳴っている。

















「俺の父親がグリーンホールディングスの社長やってるってのは聞いた?」


陽日が漸く話し出した。


「うん、聞いたよ。驚いた。」


「そっか、聞いたんだね。俺は沙紀さんが会長の孫だって事……最初から知ってたんだ。」


やっぱりそうなんだ……


聞いていたとはいえ本人から聞くとやはり辛い……


それってつまり………私の立場を利用する為って事でしょ?


真実を聞きたいけど怖くて聞けない。


戸惑いを隠せないでいるとーーー














「俺、沙紀さんを利用しようとしたんだ。」






返す言葉が出て来ない……。