「なら、話は早い。沙紀、今ここにおるのはたった一人の孫娘が可愛くて仕方ないただのジジ馬鹿だ。お前が悲しむような事をする奴は言語道断、決して許さん。」


「おじいちゃん待って。彼は悪い人じゃないと思うの。根拠はないけど………私はそう思うの。」


「お前をビジネスの為としか見ていなくてもか?」


「彼は悪い人じゃない。彼は私の事を大切に思ってくれていました。例えビジネスの為であろうともその優しさは本当だったと思う……そう思いたい。」


私の知っている陽日はいつだって優しい目で私の事を見てくれてたもん。


陽日の手から伝わる温もりを思い出す。


その温もりまで嘘だとは思いたくないよ。


















「そっか。なら問題ない。」


「えっ?」


おじいちゃんがにこやかに言う。


「好きなんだろ?彼の事が。」


いや、改まって聞かれたら照れるけど……


「うん……好き。」


「ばあさんとも話してたんだ。お前もいい年頃だからな。そろそろ誰か良い人でも見つけてやらなければと。」


「いい年頃って……言わないでよ。」


なんか最近、そればっかりなんだけど……。


「けれど今日、お前に会って直接話を聞けたから安心した。彼の事をお前がそう言うのならその判断に間違いはない。なんせお前はワシに一番似ておるからな。」


何故か目の前のおじいちゃんは上機嫌。


「よし、ばあさんが腕を奮って待ちかねておるぞ。」


おじいちゃんの後を追っておばあちゃんがいるキッチンへと向かう。


何やら楽しそうな声が聞こえてくる。














「は、るひ………?」


陽日がそこにいた。