「えっと……取り敢えず、そのぉ、離して貰えないかな?」


と、私を未だ抱きしめる彼にお願いしてみる。


て言うか、ドサクサに紛れて何してくれちゃってんのよ。


記憶がないだけにそんな風に強くは言えない自分が情けない。


そんな私に返ってきた言葉は


「嫌……って言ったら?」











えっ……なに?この甘くなりそうな展開。


これ、普通だと間違いなくキュゥ〜ンと来るところでしょうけど酸いも甘いも知り尽くした私に限っては悪いけどーーー


ナイナイ。


ただ、正直かなりの密着状態でさすがの私も狼狽えてはいる。


ぶっちゃけ、こんなシチュエーションお久しぶりだし……ポッっておいおい!


私が一人あたふたする間に更に手に力を入れてくる加藤陽日。


片方の腕は完全に私の腕枕となりもう片方の腕は何とも微妙な体の位置に添えられている。