「沙紀さん、落ち着いて。」


「ん?」


聞き覚えある声に振り返るとーーー


「はる、ひ……?」


変質者だと思っていたのは陽日だった。


「驚かせてごめん。それと…………この前の事も。」


バツの悪そうな顔して陽日が言う。


「ビックリするじゃない。まるでストーカーみたいになってるじゃないのよ。」


「俺、ストーカーですよ。ここで沙紀さん帰るのずっと待ってたし。」


「そうなの?ごめん……今日に限って色々と寄り道してたから。」


意外にも普通に話せてる事が嬉しく思う。


だから深い意味もなく言ったんだ。


「お茶でも飲んでく?」って。


するとーーー


「ううん、今日はいいや。ただこの前の事、どうしても謝りたかったんだ。酷いこと言ってごめん。俺、ちょっとどうかしてた。」


「ううん、私こそ本当にごめんなさい。試す様な事しちゃって……」


私こそ陽日を傷付けたんだもん。


陽日を怒らせるような事をして悪いのは私の方だ。


なのに陽日はーーー


「沙紀さんは悪くないよ。俺がいけないんだ。知らない内に沙紀さんを不安にさせてた。」









そう言うと私を抱き寄せた。