昼間に志賀から聞いた話はショックだった。


私、何も聞いてないんだけどな……。


そんな事を考えながら家に帰ってくると、うちのマンションの下に人影があった。


うわっ……なんかヤバい?


どうしょ……変質者だったら。


最近、痴漢が出たとか近所の人に聞いたし。


困ったなぁ。


これじゃ、部屋に入るにも危ないよね。


無視して行ったとしてもエレベーターに一緒に乗り込まれたりしたら……


こんな時、陽日に連絡すれば直ぐにでも来てくれるのだろうか……。









何、考えてんのよ私。


あの日以来、陽日とは全く連絡を取っていない
って言うのに……。


こういう時だけ甘える訳にいかないよ。


冷たく言い放って去った陽日の表情を思い出すと胸がチクリと痛む。


だけど、今はまずこの状況をどうするかだ。


家に入らない訳にはいかないもんね。


仕方ない、ここは一気に走り抜けるか。


私は鞄を抱えるとマンションのエレベーターホール目指して走り出した。









ガシッ


「き、きゃぁ、ん、んんっ…………」


叫ぼうとしたら口を塞がれた。


助けて、誰か……


お願いっ……


陽日ぃっ!