「じゃあさ、無理やりにでも最後までやっちゃえば良かったってこと?そうすれば沙紀さんは俺だけのものになるの?」


苛立たしげに陽日が言う。


こんな彼を見た事が無かったから少し戸惑ってしまう。


「違うの、言いたいのはそういうことじゃなくて……私も志賀もあんたが何か抱え込んでる事があるんじゃないかなって。誰にも言えない何かが……」


はぁ……と呆れた顔で溜息を一つ吐くと


「志賀、志賀ってそんなに志賀さんが良いんなら俺なんか無視してくっつけば?」


陽日はキツい口調で言った。


「なんでそうなるのよ。志賀も私もあんたの事心配して………」


「へぇ…随分と二人してお節介なんだね?二人して俺の事、何か悩んでる可哀想な子だねって同情でもしてた?」


「なんでそんな言い方するのよ。酷いよ。それとも同情して欲しい事でもあるの?」


言った瞬間、言い過ぎたって思った。


けれど、遅かった。


陽日の顔が怒りで歪む。
 

「言ってどうなんるだよ。あんたに俺の何が分かる?」   


部屋に沈黙が走る。

















「ごめん、帰るわ。」


陽日はそのまま部屋を出ていった。