「ごめん……。」
「それが返事?」
いつになく神妙な顔付きで聞いてくる志賀に少し躊躇うけどちゃんと言わなきゃ。
「うん……彼とちゃんと向き合おうって決めたんだ。だから、志賀の気持ちには……応えられない。」
暫く黙り込んでいた志賀はフゥーっと一息吐くと
「そっか。ハッキリ言ってもらって良かった。正直言うとあいつがお前に告ったって聞いた時、俺、出遅れたなって思った。」
そう言いながら寂しげに笑う志賀。
何て答えれば良いのか言葉が見つからない。
「そんな顔すんなって。ただ藤枝さんの時みたいに後悔はしたくなかったからって前に言っただろ?だからダメ元で良いから足掻いて見たかったんだ。」
志賀……
私と同期の志賀。
いつもバカな事ばかり言ってくる癖に私が悩んでたり困ってたりするといつだって助けてくれてた。
私はそんな志賀に甘えてばかりだ。
「ありがとう、志賀。」
「な、なんだよ。今日はやけに素直だな。」
「ん?まぁ、たまにはね。ちゃんと思ってる事言っとこうかなって。いつも心配してくれてありがとね。」
「お前、人がせっかく気持ちにケリを付けようと思ってるのに、そんな素直な姿見せられたら気持ちがブレるだろ。」
「ごめん……。」
「ほら、追加のワインとピザでも頼むか?じゃんじゃん食うぞ。今日はお前の奢りだ。」
「はあ、なんでよ?誘ったのあんたでしょ?」
「細かい事言うなよ。それくらい良いだろ?傷心の俺なのにこれ以上、懐まで寂しくさせんなよ。」
「なに、それ。勝手な事ばかり言ってぇ。きっちり割り勘だからね。」
いつも通り明るく接してくれる志賀に感謝だ。



