何品か頼んで志賀とシェアしながら食べる。


ラブリーな雰囲気の店内とは違って味はどれも本格的なものだった。


中でもやはり石窯で焼いたピザは絶品だ。


「美味しいね。この店ならみんな喜ぶよ。」


「そっか。やっぱ今日、お前と来て良かったよ。」


「でしょ?コースメニューはまた違うみたいだから楽しみぃ。」


「お前、ほんとそういう時、幸せそうな顔するよな。」


「そ、そう?」


「…………あいつにもそんな顔見せてんのか?」


「えっ……。」


「なぁ、この前の旅行でなんかあった?お前と加藤。」










志賀が真っ直ぐにこちらを見て言った。


「その前に話があるの。」


「なに?いい話しか聞きたくない。」


普段飲まないワインのせいだろうか、なんだか志賀がいつもと違う。


「うん、良い事。藤枝さんの事なんだけどーーー」


「ヨリ戻したのかよ?」


「違うよ。そうじゃなくて………ちゃんとケリ付けれた。やっとね。」


私は温泉での出来事を志賀に話した。


その間、志賀は黙って聞いてくれてた。


「ふうん、藤枝さんやっぱりお前の事、まだ思ってたんだな。」


「それはどうだろ。ずっと思ってたって訳じゃないみたい。それなりに充実した結婚生活を送ってたって言ってたし。」


「でもお前と再会して……って訳か。」


「うん。だけど藤枝さんもきっと気付いてたと思う。もう過去の話なんだなって。」