「・・・・・ねぇ、ここなの?同期会のお店って。」


次の日、仕事帰りに志賀と下見がてらやって来たお店はイタリアンのお店だった。


あまりにも志賀には似つかわしくないラブリーな感じのお店に、つい入り口で立ち尽くしてしまった。


「兎に角、中に入ろう。」


「う、うん……そうね。」


中に入るとーーー


やっぱり、女子だらけだった。


だけど入ってすぐの所に本格的な石窯があって、チーズのトロけるいい匂いが店内に漂っていた。


「へぇ…美味しそうなお店じゃない。」


「だろ?」


席に案内され座ったものの、あちらもこちらも女子だらけで居心地悪そうな志賀。


「ねぇ、何でこのお店にしたの?」


落ち着きのない志賀を見ていると自然と笑いが込み上げてくる。


「実はさ、俺の姉貴が教えてくれたんだ。」


「お姉さんが?」


そうだ、確か志賀にはお姉さんがいたんだ。


何年か前に結婚して赤ちゃんが去年生まれたって言ってたような。


「ああ、この前、久しぶりに連絡来てさ、丁度、同期会の店探してたから、どこかいい店知らないかって聞いてみたんだよ。するとここが美味いって言うから……。」


「確かにね、あの石窯とかも本格的だもんね。」


「実は一度見に来たんだよ、俺一人で。」


「そうだったの?」


「だけどこれだろ?」


と、周りに目線を向ける志賀。


「予約だけしてその日は食わずに帰ったんだ。」


なるほど。


それで今日、私を誘った訳か。


「良いお店じゃない。」


「一応、個室の方を予約してある。流石にこの状況だと野郎は落ち着かねぇし。」