「ああ。ここにいても進展はない。俺たちが探るのは、あくまで現場だ。それは分かってるよね?」


「ええ。ですが……」


「ですがも何もないよ。行くしかない」


 そう言ってカバンを自分のデスクに置き、警察手帳と、スマホなどの情報機器を持って歩き出す。


 確かに体は疲れている。


 初夏は体調を崩しやすい。


 だが、そんなことも言ってられないのだ。


 歩いていく。


 まっすぐに前を向いて。


 警視庁地下の駐車場に行き、覆面パトカーに乗り込んで、運転する。


 助手席の橋村が、


「梶間さん、南新宿に行くんですよね?」