「島谷君、君、ずっと聞いてたのか?」


「聞いてたんじゃなくて、聞こえてたんです」


 島谷は女デカだが、俺たちと対等に渡り合う。


 三十代前半で、肩まで伸ばした髪をゴムで束ねている。


 一見、普通の女性に見えるのだが、気は強い。


「島谷君、君の相方は誰だい?」


 そう問うと、島谷が軽く笑みを溢し、その後、


「滝田警部補ですが」


 と言った。


「ああ、確か滝田君なら、今警視総監の命令でアメリカのニューヨーク州の警察署に出向中だよね?」


「ええ」


「今、南新宿署に帳場がある事件の捜査に協力してくれないかな?」