と言うと、


「あくまで現時点ではだよ。まだ挽回するチャンスはある」


 と返す。


 石川が、


「今しばらく様子を見ましょう。……悪い方には行かないと思いますから」


 と言い、息をつく。


 考えてみれば、俺や橋村がこの所轄に来ている目的は、事件に関し、断片的な事実を知るために過ぎなかった。


 無駄なのかもしれない。


 いっそのこと、警視庁の捜査部隊が動けば済む話だった。


 もちろん、希望的観測に過ぎなかったのだが……。


 現時点で本庁のデカたちに個別にこの案件の捜査を頼むのは、無理に等しい。


 まあ、別に多少の捜査の遅滞はあっても、犯人確保が最優先なのだし……。