警視庁が出来てから、ずっと同じような感じなのだ。


 一課強行犯七係の係長席にいる嶺岸は朝からタバコを吸いながら、他の係の様子を窺っている。


 俺たちの属する八係の詰所には水谷がいて、老眼鏡を掛け、デスクのパソコンに向かっていた。


 上司は相変わらず鈍い。


 八係の捜査員はいつも置いてかれるのだ。


 事件捜査では、俺や橋村が常に活動している。


 他の八係の人間たちの動向を知らない。


 知る必要もなかった。


 個々人がバラバラなのだし……。


 一課内に島谷もいる。


 相方でニューヨーク州の警察に出向中の滝田警部補を待ちながら……。


 熊谷警視総監も滝田を遠くに出向させたと思う。