「そもそも動機は何だったのかな?」


「おそらく今回の会社社長殺害事件で、所轄に帳場出来た時から、捜査方針が合わなかったと思いますよ」


「殺したいぐらい憎んでれば、そうなるのかもな」


 そう言うと、橋村が割って入って、


「これ問題ですよ。ちゃんと上層部に報告すべきです」


 と言った。


「今、報告しても握り潰されますよ。『何言ってんだ?』って感じで」


 石川がそう言い、息をつく。


 その日の話も、捜査を進めるための代物にはならなかった。


 だが、数日経ち、日曜になると、なぜかしら捜査に向かう感情が本復する。


 朝、通常通り出勤してきて、橋村と会うと、


「梶間さん、今日分かったことなのですが、矢野原監察官がここ一週間ほど、行方を晦ましてるようです」