「……それは言えません」


 生田が呟くようにして言う。


「もう一度お聞きしますが、あなたに大村係長を殺すよう命じたのは誰ですか?」


「……」


「矢野原監察官ですよね?」


 生田が表情を変え、俺の言葉に驚く。


 そして軽く頷き、


「命令されました。監察官が毒入りのビンを渡して、係長を殺害するようにと」


 と言う。


 俺も、脇にいた橋村も自供だと受け取り、橋村が頷いて、


「生田淳介、毒物混入による殺害容疑で逮捕する」


 と言い、署の取調室へと連行した。


 俺の方も頷き、付いていく。