帰庁し、何食わぬ顔で一課のフロアに入ると、近くにいた刑事が、


「梶間警部、吉村一課長がお呼びですよ」


 と言った。


 頷き、課長席に行くと、


「梶間、ここ数日間、何してた?」


 と訊いてくる。


「職務遂行です」


「三原伸吾殺害のヤマは、所轄に丸投げしてる。首突っ込むな」


「……」


 思わず言葉を失った。


 吉村が釘を差したことで、事件捜査をする理由がなくなってしまう。


 だが、考えようによっては、これから所轄が事件全部を背負い込むことになるのだ。


 そうなった場合、吉村は本件で、仮に所轄が捜査に失敗した際、責任を取れるのか?