何か隠されている。


 事件の背後に。


 それから数日間、俺も橋村を連れて、南新宿署の帳場に通い続けた。


 疲れる。


「刑事は足で」と昔から言うが、ここ数日間ずっと所轄に出向いたり、あるいは現場に戻ってきて、見分したりしていた。


 新宿の街は荒れている。


 特に歌舞伎町の目抜き通りや、人が大勢通る場所などは、いろんな人間がいた。


 欲望の街だ。


 金さえあれば、酒も女も、ヤバいクスリでさえ買える。


 無法地帯だった。


「橋村君」


「はい」