歯車だった。


 俺だって、相方の橋村だってそうだ。


 きっと橋村も思っているだろう。


 自分が警察の中ではコマに過ぎないことを。


 ちょうど午前十時になり、必携品を入れたカバンを持って、橋村に促す。


 一課のフロアを出た。


 そして地下駐車場へ向かう。


 運転席に滑り込み、助手席に橋村が座ったことを確認すると、エンジンを掛けた。


 そのまま、アクセルを踏み込み、車を出す。


「また南新宿ですよね?」


「ああ。現場見ないと、事件が分からない」


 そう言って、ハンドルを握った。


 本来的には日曜ぐらい、非番にしてほしい。