確かに頭の中は混乱している。


 殺人事件だって、一課の警官にとっては日常茶飯事なのだが、関わるとやはりきつい。 


「また何か物証が出たら、呼んで」と言い、鑑識課を出て、歩き出す。


 一課に戻ると、強行犯七係の詰所に警部の嶺岸が待機していた。


 アイツは係長なのだが、階級は同じ警部で対等である。


 八係長の水谷は相変わらず、老眼鏡を掛け、デスクで調べ物などをしていた。


 いつも思う。


 この係長は器量不足だと。


 まあ、警察官は誰しもがまめなのだが……。


 それに組織は固着してない。


 絶えず新陳代謝がある。


 三年前とか五年前にいた人間は、もういない。


 警察は組織とか全体で動く。