刑事も保身が大事である。


 痛い目に合わないように、だった。


 そしてちょうど午後一時半を回る頃、現場に着く。


 そこに居合わせたのは、警部補の島谷だった。


 単独行動だ。


「おい、島谷君。単独で来ちゃダメだよ」


「ですが、私も傍ら痛くて」


「まあ、分からんことはないけど、滝田君がアメリカから戻ってくるまでは、本庁で庶務に専念してくれよ」


「……」


 一瞬黙り込んだ島谷が「分かりました」と言葉を返す。


 そして停めていた車両に戻った。


 軽く息をつき、