その記事を読みながら、思っていた。


 やはり所轄が動けば、俺たち本庁だって黙っちゃいないぞと。


 そして午前八時二十分過ぎに出勤してきた橋村に声を掛ける。


「おはよう、橋村君。今日から南新宿署の帳場に行くから、君も来なさい」


「はい。……梶間さん、乗り気ですよね?」


「ああ。現役の刑事だからな。事件があれば、放っておけない」


 そう言って一課のフロアを出、行こうとすると、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。


「おい、梶間、橋村、朝から揃ってどこ行くんだ?」


 一課長の吉村だ。


「ちょっと野暮用がありまして」


 俺の方が適当に嘘をつき、歩こうとする。


 吉村が言った。


「勝手な真似するなよ。例の南新宿の殺しのヤマは所轄で十分だ、と田村刑事部長も仰っ