「若干ね。毎日蒸し暑いから、夜間は寝苦しいよ」


「俺なんか、眠れない時はずっと起きてますよ。明け方、少し仮眠取りますけど」


 橋村が軽く息をつき、車に揺られる。


 思っていた。


 きっと葛藤もあるだろうと。


 南新宿の街に着き、駐車場に車を停めて、そこから殺人現場へ向かう。


 歩きながら、橋村が言った。


「梶間さん、靴底減ってるんでしょう?」


「ああ。今年に入って三足目だし」


 本音が漏れ出る。


 刑事は靴底をすり減らしながら、頑張るのだ。


 昔から。


 別に気にしてなかった。